「立っていると腰が疲れる」「お腹が前に出て見える」「あおむけで寝ると腰が浮く」――こうしたサインは、いわゆる「反り腰(そりごし)」の可能性があります。
この記事では、総合病院にて勤務している現役の理学療法士として、反り腰になる原因・自分でできるチェック・セルフケアを解説します。反り腰は姿勢のクセと深く関わり、腰の負担にもつながります。
反り腰とは?
背骨はもともとゆるやかなS字カーブを描いていますが、腰の反り(前弯)が強くなりすぎた状態が反り腰です。骨盤が前に傾き、お腹を突き出すような姿勢になりやすいのが特徴です。
姿勢全体のS字カーブの考え方は姿勢の基本記事でも解説しています。反り腰は「腰だけ」ではなく姿勢全体の一部として捉えることが大切です。
反り腰になる主な原因
- お腹・おしりの筋力低下:骨盤を支えきれず前に傾く
- 太もも前・股関節前の硬さ:骨盤を前に引っぱる
- 長時間の立ち姿勢やヒールの靴:腰を反って立つクセ
- 妊娠・体重増加:お腹が前に出てバランスをとろうとする
股関節前の硬さが気になる方は股関節ストレッチの記事もあわせてどうぞ。
反り腰のセルフチェック

かんたんな方法で確認できます。
- 壁立ちチェック:かかと・お尻・背中・後頭部を壁につけて立ち、腰と壁のすき間に手のひらが余裕で入る・こぶしが入るなら反り腰の傾向
- あおむけチェック:あおむけで寝たとき、腰の下に大きなすき間ができて浮く
- 立っていると、お腹が前に出て腰が疲れやすい
※手のひら1枚分のすき間は自然な範囲です。詳しい壁立ちチェックはセルフチェック記事もご参考に。
反り腰のセルフケア3選

痛みのない範囲で、呼吸を止めずに行いましょう。痛みが強まる場合は中止してください。
① ドローイン(お腹を使う練習)
あおむけでひざを立て、息を吐きながらお腹を薄くへこませ、腰と床のすき間を軽く埋める。10秒キープ×数回。骨盤を支える深部の筋肉を働かせます。
やり方
- あお向けになり、両ひざを立てる
- 腰と床のすき間に手を入れ、どれくらい空いているか確かめる
- 息を吐きながら、おへその下あたりを薄くへこませる
- すき間が軽く埋まる感覚を保ったまま、呼吸を続けて10秒
- ゆるめて一呼吸。5回
できているかの確認
- 腰を床に押しつけるのではなく、お腹の力ですき間が自然に減る
- 10秒のあいだ呼吸が続いている
よくある間違い
- お尻を締めて骨盤を持ち上げる → お尻の運動になります。腰は床に置いたまま
- 息を止めて力む → 血圧が上がりやすいため、呼吸は続けます
② 骨盤の後傾運動(キャット&ドッグ)

四つばいで、背中を丸める・反らすをゆっくりくり返す。骨盤を動かす感覚を取り戻します。10回程度を痛気持ちいい範囲で。
やり方
- 四つばいになり、手は肩の真下、膝は股関節の真下に置く
- 息を吐きながら、おへそをのぞき込むように背中を丸める(骨盤を後ろに倒す)
- 息を吸いながら、ゆっくり戻す
- ゆっくり10往復。1往復に5秒ほどかける
できているかの確認
- 骨盤が前後に動いているのが分かる
- 呼吸に合わせて動けている
よくある間違い
- 反らす側を大きくやりすぎる → 反り腰の方は丸める側を大きく
- 速く動かす → ゆっくりのほうが骨盤の動きをつかめます
③ 太もも前・股関節前のストレッチ

片膝立ちで後ろ脚の股関節の前を伸ばす。骨盤を前に引っぱる硬さをゆるめます。左右20〜30秒。
やり方
- 床に片膝立ちになる(伸ばしたい側を後ろに)
- お尻を軽く締めて、骨盤を後ろに倒す
- その姿勢を保ったまま、体重を少し前へ移す
- 後ろ脚の付け根の前と太ももの前が伸びるところで20〜30秒。左右2回ずつ
できているかの確認
- 伸びているのは付け根の前側
- 腰が反っていない
よくある間違い
- 腰を反らせて前に出る → 骨盤を倒したまま動いてください
- 膝が痛い → 膝の下にタオルを敷きます
あお向けで寝ると腰がつらい方は、反り腰の人の寝方もどうぞ。
順番と頻度
③(伸ばす)→ ②(動かす)→ ①(使う)の順がおすすめです。前側が縮んだまま①だけ行っても、骨盤が立つ位置まで動かせません。
- 1日1〜2回、合計5分程度
- 入浴後が最も伸びやすいタイミングです
- 変化の目安は2〜4週間。壁チェックの隙間で確かめられます
猫背も同時に気になる方は、どちらを先に整えるかを反り腰と猫背の違いで整理しています。
日中にやること
ケアの時間より、反って立っている時間のほうが長くなりがちです。
- 立つときは、お腹を軽く締めて骨盤を立てる
- ヒールの高い靴が続く日は、帰宅後に③を長めに
- 長時間立つときは、片足を10〜15cmの台に乗せて交互に替える
Avensのワンポイントアドバイス
反り腰の方に「姿勢を正して」とお願いすると、さらに胸を張って腰を反ってしまうことがよくあります。大切なのは反対で、お腹を軽く使い、骨盤を立てる感覚です。見た目を一瞬整えるより、お腹とおしりの筋肉が骨盤を支えられるようになること——これが反り腰ケアの本質だと現場で感じています。
こんな時は専門家へ
- 腰の痛みが強い、または長く続く
- 脚にしびれ・力の入りにくさを伴う
- 反らすと強い痛みが出る
- 妊娠中で腰の不調がある(主治医に相談を)
よくある質問
Q1. 反り腰は治りますか?
骨格そのものの問題を除けば、筋力や柔軟性のバランスを整えることで姿勢が変わる可能性は十分あるとされています。ただし長年のクセは時間をかけて変化します。継続が大切です。
Q2. 腹筋運動をすればいいですか?
起き上がる腹筋運動より、まずお腹を薄く使う「ドローイン」で深部の筋肉を働かせる方が、反り腰には向いているとされています。腰を痛めない範囲で行いましょう。
Q3. 反り腰だと腰痛になりますか?
反り腰は腰の負担を高める一因になり得ますが、必ず腰痛になるわけではありません。気になる方は腰痛のタイプ別チェックもご覧ください。
続けやすくする道具(なくてもできます)
反り腰のケアに道具は要りません。ただ「床が硬くて続かない」という方は、マットや丸めたバスタオルを腰の下に。お腹と背中を同時に感じ取りにくい方は、不安定な面や円柱状の道具を使う方法もあります。
座っている時間が長い方は、姿勢を良くするグッズの選び方|猫背が気になるデスクワークの方へもあわせてご覧ください。
Q4. 反り腰の治し方で、まず何から始めればいいですか?
股関節の前側を伸ばすことからです。骨盤を前に引っぱる硬さが残ったままだと、お腹を使う練習をしても骨盤が立つ位置まで動かせません。順番は「伸ばす→動かす→使う」です。
Q5. 腰が反っているほうが姿勢がよく見える気がします
胸を張って腰を反らせると一時的に姿勢がよく見えますが、腰の負担は増えます。目指すのは反ることではなく、骨盤が立った状態で力まずに立てることです。
Q6. 下腹が出て見えるのは反り腰のせいですか?
骨盤が前に傾くとお腹が前に出て見えることはあります。ただし見た目の要因はそれだけではないため、姿勢を整えることで変わる部分と、そうでない部分があります。
まとめ
反り腰は、骨盤を支える筋力の低下や、太もも前・股関節前の硬さが背景にあることが多いとされます。お腹を使う練習・骨盤を動かす運動・前側のストレッチをやさしく続けることが対策の中心です。
まず1つなら、「あおむけでドローイン10秒」から始めてみましょう。
あわせて読みたい
- 腰痛の種類をセルフチェック|タイプ別の見分け方と対処
- 姿勢を支える3つの土台|足・骨盤・体幹を整える順番とセルフチェック
- 意外と知らない「正しい座り方」の基準とメリット
- 股関節が硬いとどうなる?原因とストレッチ
- 姿勢の基本と悪い姿勢が引き起こす身体のサイン
- 腰痛セルフケア総まとめ|タイプ別の見分け方・急な腰痛の対応・慢性腰痛の整え方
反り腰や姿勢のクセを根本から見直したい――そんな時は、ご相談を承っています
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を行うものではありません。腰の強い痛み・脚のしびれを伴う場合や妊娠中の方は、医師にご相談ください。症状が続く場合や強い痛み・しびれがある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
参考にした情報源
本記事は、以下の公的機関・学会の公開情報を参考に、一般読者向けに分かりやすく再構成したものです。
※内容はあくまで一般的な目安です。年齢・既往歴・症状により適切な対応は異なります。気になる症状がある場合は、医師・理学療法士などの専門職にご相談ください。

