ウォーキングや軽い筋トレを始める前、「いきなり動き出して大丈夫かな?」と感じたことはありませんか。運動前には、身体を動かしながら温めるダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)が向いているとされています。
この記事では、総合病院にて勤務している現役の理学療法士として、運動前にダイナミックストレッチが向く理由・自宅でできる基本のやり方・注意点を解説します。運動後のケアは運動後の静的ストレッチの記事とセットでどうぞ。
この記事の結論
- 運動前は、動かしながら温める動的ストレッチが向いています
- 腕回し・レッグスイング・もも上げを、痛みのない範囲でリズミカルに
- 運動後は静的ストレッチでクールダウンを。前後で役割が違います
運動前は「動的」、運動後は「静的」が基本
ストレッチには大きく2種類あります。反動を使わずゆっくり伸ばす「静的ストレッチ」と、関節を動かしながら伸ばす「動的ストレッチ」です。運動前は、身体を温めて動きの準備を整える動的ストレッチが向いているとされています。逆に、運動前に静的ストレッチで長く伸ばしすぎると、一時的に力を発揮しにくくなるという報告もあります。ストレッチ全般の基本はストレッチの効果的なやり方の記事もどうぞ。
ダイナミックストレッチの効果
- 血流が促され、身体が温まる:筋肉が動きやすい状態になります
- 関節の動く範囲を広げる:これから使う動きに近い形で準備できます
- ケガの予防につながるとされる:急な動き出しの負担をやわらげます
自宅でできる基本のやり方3選
いずれも痛みのない範囲で、反動をつけすぎず、リズミカルに行いましょう。各10回程度を目安に、動かしながら身体を温めます。
① 腕を大きく回す(肩まわり)

両腕を前回し・後ろ回しに大きくゆっくり回します。肩甲骨から動かす意識で。肩・胸まわりが温まり、上半身の動きがスムーズになります。
やり方
- 足を肩幅に開いて立つ
- 両腕を体の横から大きく回す。はじめは小さく、だんだん大きく
- 前回し10回、後ろ回し10回
- 肩をすくめず、肩甲骨から動かす
できているかの確認
- 肩甲骨が背中の上で動いているのが分かる
- 呼吸が止まっていない
よくある間違い
- 勢いだけで振り回す → 大きく、でもコントロールして
- 首をすくめる → 肩は下げたまま
② 脚を前後に振る(レッグスイング)

壁や椅子に手を添え、片脚を前後に大きくゆっくり振ります。股関節を動かし、歩く・走る動作の準備に。左右各10回ほど。反動で無理に振り上げないのがコツです。
やり方
- 壁や椅子の背に片手を添えて立つ
- 片脚を前後に振る。はじめは小さく、だんだん大きく
- 上体を倒さず、股関節から脚を動かす
- 前後10回 × 左右。慣れたら左右の振りも10回ずつ
できているかの確認
- 上体が前後に揺れていない
- 股関節から動かせている(膝から下だけになっていない)
よくある間違い
- 反動で無理に高く上げる → 可動域の手前までで十分です
- 腰を反らせる → お腹を軽く締めたまま行います
③ その場でもも上げ

その場で、ももを軽く高く上げて足踏みします。股関節まわりと体幹が温まり、全身の血流が促されます。20回ほど、呼吸を止めずリズミカルに。
Avensのワンポイントアドバイス
運動を習慣にしたい方から「準備運動って必要ですか?」とよく聞かれます。答えは「短くていいので、やった方が身体は動きやすい」。がっつりやる必要はなく、これから使う場所を軽く動かして温める——腕を回す・脚を振る、それだけで十分です。動き出しがラクになると、運動そのものも続けやすくなります。
やり方
- その場に立ち、軽くリズムをとる
- 太ももが床と平行になるくらいまで、交互に膝を上げる
- 腕も一緒に振る
- 20〜30秒 × 2セット
できているかの確認
- 背中が丸まっていない
- 息が少し弾む程度になっている
よくある間違い
- 膝を高く上げることだけに集中する → 姿勢を保ったまま行うほうが効果的です
- 上体を後ろに倒す → まっすぐ立ったまま
いつ・どれくらいやるか
- タイミング:運動の直前。身体が温まってから
- 時間:5〜10分。軽いジョグや足踏みを3分はさむとさらに効果的
- 順番:全身(腕回し)→ 下半身(レッグスイング)→ 心拍を上げる(もも上げ)
- 強度:息が少し弾む程度。きつくする必要はありません
静的ストレッチとの使い分け
- 運動前:動かしながら伸ばす(このページの3つ)
- 運動後:止めて伸ばす(20〜30秒キープ)
- 運動直前に長く静止して伸ばすと、一時的に力を発揮しにくくなるという報告があるとされています
種目別に足すとよいもの
- 走る:お尻を後ろに蹴り上げる動き、股関節を外に回す動き
- 跳ぶ:その場で軽くジャンプ、かかとの上げ下げ
- 球技:サイドステップ、上体のひねり
注意点
- 反動をつけすぎない:勢いで無理に動かすと痛める原因に
- 痛みが出たら中止する:気持ちよい範囲で
- 寒い季節は少し長めに:身体が温まりにくいときは時間をかけて
- 関節に痛みや不安がある方は、無理をせず医療機関にご相談ください
よくある質問
Q1. どのくらいの時間やればいいですか?
5分程度でも十分です。これから行う運動で使う部位を中心に、身体が少し温まる程度を目安にしましょう。
Q2. ウォーキングの前にも必要ですか?
軽いウォーキングなら、はじめの数分をゆっくり歩くこと自体がウォームアップになります。余裕があれば、脚を振る・もも上げを加えると、より動き出しがスムーズです。
続けやすくする道具(なくてもできます)
運動前の動的ストレッチはその場でできるのが利点です。あえて足すなら、軽いバンドで肩や股関節を動かすと、可動域を出しやすくなります。
Q3. 寒い日はどうすればいいですか?
身体が冷えているほど、いきなり大きく動かすのは負担になります。室内で足踏みや軽いジョグを長めに(5分程度)入れて、温まってから振る動きに移ってください。
Q4. 運動前に静的ストレッチをしてはいけないのですか?
絶対にだめというわけではありません。ただし長く静止して伸ばし続けると一時的に力を発揮しにくくなるという報告があるため、運動直前は動かしながらのほうが向いているとされています。
Q5. 何分前にやればいいですか?
運動を始める直前で構いません。時間を空けると身体が冷めてしまうため、終わったらそのまま運動に入る流れが理想です。
まとめ
運動前は、身体を動かしながら温めるダイナミックストレッチが向いています。腕回し・レッグスイング・もも上げを、痛みのない範囲でリズミカルに。短くても「使う場所を温める」ことが、動きやすさとケガ予防につながります。運動後は静的ストレッチでクールダウンを。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を行うものではありません。関節や筋肉に痛み・不安がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
参考にした情報源
本記事は、以下の公的機関・学会の公開情報を参考に、一般読者向けに分かりやすく再構成したものです。
※内容はあくまで一般的な目安です。年齢・既往歴・症状により適切な対応は異なります。気になる症状がある場合は、医師・理学療法士などの専門職にご相談ください。

