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ロコモティブシンドロームとは?チェックと予防を理学療法士が解説

屋外を元気に歩くシニアの様子(水彩イラスト)

「階段の上り下りがつらい」「片脚で立てない」「歩くスピードが落ちた」――こうした変化は、年齢のせいと見過ごされがちですが、移動する力(移動機能)が低下する「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」の始まりかもしれません。

この記事では、総合病院にて勤務している現役の理学療法士として、ロコモとは何か・簡単なセルフチェック・今日から始められる予防を解説します。早めに気づいて対策すれば、将来の「歩けない・動けない」を遠ざけることにつながります。

目次

ロコモティブシンドロームとは?

ロコモティブシンドロームは、骨・関節・筋肉・神経など「運動器」の衰えにより、立つ・歩くといった移動機能が低下した状態を指します。日本整形外科学会が提唱した考え方で、進行すると介護が必要になるリスクが高まるとされています。

原因は、加齢による筋力低下に加え、運動不足、関節や背骨の変化(変形性関節症・骨粗しょう症など)が組み合わさって起こると考えられています。年齢に関係なく、運動習慣の少ない若い世代でも予備軍になり得るとされています。

ロコモのセルフチェック

イスに手を添えて片脚立ちをするバランス運動のイラスト
片脚立ち。支えを持って安全にバランス力を養う

日本整形外科学会では「ロコチェック」として、次のような項目が示されています。1つでも当てはまればロコモの心配があるとされています(無理のない範囲で確認してください)。

  • 片脚立ちで靴下がはけない
  • 家の中でつまずいたり、すべったりする
  • 階段を上るのに手すりが必要
  • 横断歩道を青信号の間に渡りきれない
  • 15分くらい続けて歩けない
  • 2kg程度の買い物(1リットルの牛乳2本ほど)を持ち帰るのが難しい
  • 掃除機がけや布団の上げ下ろしなど、やや重い家事がつらい

身体全体のサインを広く確認したい方は隠れた不調のセルフチェックもあわせてご覧ください。

ロコモを防ぐ・改善する運動(ロコトレ)

イスに腰かけるようにお尻を下げるスクワットのイラスト
スクワット。下半身の筋力を保つロコトレ

移動機能を保つには、「下半身の筋力」と「バランス力」を中心に鍛えることが大切です。代表的な運動を紹介します。痛みのない範囲で、転ばないよう支えのある場所で行いましょう。

① 片脚立ち(バランス)

机や壁に両手をしっかり添え、片脚を床から少し浮かせて(目安は短時間から、慣れたら1分)。左右行います。転倒予防のためのバランス力を養います。慣れないうちはイスや机の角に両手をついて短時間から始めましょう。ふらつきや不安がある場合は次のテレビを見ながらの座位運動から始めてください。

② スクワット(下半身の筋力)

足を肩幅に開き、イスに腰かけるようにゆっくりお尻を下げて戻す。5〜6回×3セットを目安に。ひざがつま先より前に出すぎないよう、息を止めずに行います。ひざに痛みがある方はひざの痛みの記事も参考に。

③ かかと上げ(ふくらはぎ)

支えを持って立ち、両かかとをゆっくり上げて下ろす。10〜20回。歩行を支えるふくらはぎの筋力を保ちます。

毎日の積み重ねが大切です。姿勢の土台づくりは姿勢の土台の記事、運動の基本はストレッチの基本もあわせてどうぞ。

Avensの現場から

「年だから仕方ない」とあきらめてしまう方は少なくありません。しかし運動機能は、いくつになっても適切な運動で維持・改善が期待できるとされています。大切なのは、難しい運動より「続けられること」。私が現場でお伝えするのも、まずは片脚立ちやスクワットを毎日少しずつ——という地道な一歩です。不安な方は専門職と一緒に始めると安心です。

こんな時は専門家へ

次のような場合は、整形外科や理学療法士などの専門職に相談してください。

  • ロコチェックに複数当てはまる
  • 関節の痛みや変形があり、運動に不安がある
  • 最近つまずき・転倒が増えた
  • 骨粗しょう症を指摘されたことがある

よくある質問

Q1. 何歳から気をつければいいですか?

ロコモは高齢者だけの問題ではなく、運動習慣の少ない40〜50代でも予備軍になり得るとされています。若いうちからの運動習慣が将来の備えになります。早すぎることはありません。

Q2. 運動するとかえって痛くなりませんか?

痛みの強い時期に無理をするのは禁物ですが、痛くない範囲で適度に動かす方が、筋力低下を防ぎ長い目で良いとされています。関節に不安がある場合は、専門職に運動内容を相談すると安心です。

Q3. ウォーキングだけでは不十分?

ウォーキングは有効ですが、歩くだけでは筋力やバランス力が十分に鍛えにくい面があります。スクワットや片脚立ちなどの運動を組み合わせるのがおすすめです。歩き方の基本は別記事でも解説しています。

まとめ

ロコモティブシンドロームは、運動器の衰えで移動機能が低下した状態です。ロコチェックで早めに気づき、下半身の筋力とバランスを保つ運動を続けることが、将来の「自分で動ける身体」を守ります。

まず1つ始めるなら、「テレビを見ながら座って太もも上げ」から。イスに浅く座り、背すじを伸ばして左右の太ももを交互にゆっくり持ち上げる(座って足踏み)を2〜3分。CMの間や録画視聴中など、毎日の習慣に組み込みやすく、転倒の不安なく続けられます。慣れてきたら片脚立ち・スクワットへ広げていきましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を行うものではありません。関節痛・骨粗しょう症など持病がある方は運動の前に医師にご相談ください。症状が続く場合や強い痛み・しびれがある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。

参考にした情報源

本記事は、以下の公的機関・学会の公開情報を参考に、一般読者向けに分かりやすく再構成したものです。

※内容はあくまで一般的な目安です。年齢・既往歴・症状により適切な対応は異なります。気になる症状がある場合は、医師・理学療法士などの専門職にご相談ください。

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