「下半身を鍛えたい」「将来も自分の足で歩きたい」「腰やひざの負担を減らしたい」――こうした目的でスクワットに挑戦する方は多いものです。シンプルに見えて、フォームを少し意識するだけで効果も安全性も大きく変わる運動です。
この記事では、総合病院にて勤務している現役の理学療法士として、スクワットの効果・正しいフォーム・初心者からできるバリエーション・続けるコツを解説します。回数より、まず「正しい一回」を体に覚えさせるのが近道です。
スクワットの効果
スクワットは、身体の中でも大きな筋肉(太もも・お尻)をまとめて使う運動です。器具がいらず、自宅やオフィスのちょっとした空間でできるため、続けやすさの面でも優れています。
- 下半身の筋力が保てる:太もも・お尻・ふくらはぎを同時に鍛えられます
- ロコモ・転倒予防の土台になる:立つ・座る・歩くの基本動作に直結する筋肉を働かせます(ロコモの予防記事)
- 姿勢が整いやすくなる:体幹も自然に使うため、姿勢の土台づくりにつながります
- 代謝を支える:大きな筋肉を使うため、運動量に対しての消費カロリーが大きいとされています
- 続けやすい:5〜10回×2〜3セット、短時間×毎日でOK。器具も場所もほぼ不要
姿勢の土台づくり全般については姿勢の土台の記事、ひざに不安がある方はひざの痛みの記事もあわせてどうぞ。
スクワットの正しいフォーム
まずは基本となるフルスクワットの正しい姿勢を覚えましょう。回数より、「正しい一回」を体で覚えるのが先です。
- 足は肩幅に開き、つま先は軽く外側へ
- 背すじを伸ばし、目線は前へ
- イスに腰かけるように、お尻を後ろに引きながら下げる
- ひざはつま先より前に出さず、つま先と同じ方向に曲げる
- 太ももが床と平行になるくらいまで下げる(できる範囲で)
- かかとで床を押すように立ち上がる
- 呼吸は止めない(下げるときに吸う、上げるときに吐く)
目安は5〜10回×2〜3セット。深く下げすぎる必要はありません。正しいフォームで浅く繰り返す方が、崩れたフルスクワットより安全で効果的です。
初心者からできるスクワットのバリエーション3選
フォームを保つことが何より大切です。痛みやふらつきが出る場合は中止してください。ふらつく場合はイスや壁に手を添えて行いましょう。
① ハーフスクワット(入門)

足は肩幅。ひざが30〜60度くらい曲がる浅さまで下げて戻る。10回×2セット。フルスクワットが難しい方の入門編。深さは気にせず、まず「お尻を引く」感覚を覚えます。ひざに不安がある方や運動再開の方にもおすすめです。
やり方
- 足を肩幅に開き、つま先はやや外向き
- 胸を張り、両手は前に伸ばすか胸の前で組む
- お尻を後ろに引きながら、膝が90度になる手前までしゃがむ
- 2秒かけて下ろし、1秒で立ち上がる
- 10回 × 2〜3セット
できているかの確認
- 膝がつま先より大きく前に出ていない
- かかとが床から浮いていない
- 膝とつま先が同じ方向を向いている
よくある間違い
- 背中が丸まる → 胸を張ったまま、お尻から下ろします
- かかとが浮く → 足首が硬いサイン。かかとの下に1〜2cmの板を敷く
② フルスクワット(基本)

足は肩幅。太ももが床と平行になるくらいまでお尻を下げて戻る。5〜10回×2〜3セット。下半身全体を効率よく鍛えられる基本形。ひざがつま先より前に出ない・内側に入らないことを意識します。鏡で横から確認するか、家族や友人に見てもらうと安心です。
やり方
- 足を肩幅に開き、つま先はやや外向き
- お尻を後ろに引きながら、太ももが床と平行になるまでしゃがむ
- 2秒かけて下ろし、1秒で立ち上がる
- 10回 × 2〜3セット
できているかの確認
- しゃがんだとき、膝とつま先が同じ方向
- 腰が丸まって骨盤が後ろに倒れていない(しゃがみきる手前で止める)
よくある間違い
- 深くしゃがみすぎて腰が丸まる → 丸まる手前が今の限界です
- 勢いで反動をつける → ゆっくり下ろすほうが筋肉が働きます
③ ワイドスクワット(内ももを使う)

足を肩幅より広く、つま先を45度くらい外側に向けてしゃがむ。10回×2セット。内ももやお尻の外側を働かせ、骨盤まわりの安定にもつながります。お尻を真下に下ろすイメージで。ひざがつま先と同じ方向に曲がるよう注意。
やり方
- 足を肩幅の1.5倍ほど広く開く
- つま先を45度ほど外へ向ける
- 膝をつま先と同じ方向に開きながら、まっすぐ下にしゃがむ
- 10回 × 2〜3セット
できているかの確認
- 内ももに張りを感じる
- 膝が内側に入っていない
よくある間違い
- 上体が前に倒れる → まっすぐ下に落とすイメージで
- つま先と膝の向きがずれる → 膝を外に開く意識を持つ
回数・セット・週何回
- 回数:10回 × 2〜3セット。最後の2〜3回がややきつい強さ
- 頻度:週2〜3回。間に1日空ける
- 進め方:ハーフ→フル→ワイドの順。深さより膝の向きを優先
- 目安:翌日に軽い筋肉痛が出る程度。歩きにくいほどはやりすぎ
回数と頻度の決め方は、スクワットは何回・週何回?にまとめています。
しゃがめない人がまず見るところ
- 足首:かかとが浮くなら足首が硬い。壁に膝を近づける練習を
- 股関節:お尻が後ろに引けないなら股関節が硬い
- 当面の対処:かかとの下に板や本を1〜2cm敷くとしゃがみやすくなります
しゃがむと膝が内に入ってしまう方は、膝が内に入るのはなぜ?原因と直す順番をご覧ください。
よくあるNGフォームと対策
- ひざがつま先より大きく前に出る:ひざを痛める原因 →お尻を後ろに引きながら下げる
- ひざが内側に入る(ニーイン):ひざ・股関節に負担 →つま先と同じ方向にひざを曲げる
- 腰を反らせて下げる:腰を痛める原因 →お腹で支え、骨盤を立てる
- 前に倒れすぎ・かかとが浮く:ふくらはぎや足首の硬さが原因のことも →浅めから始める、足首ストレッチを取り入れる
- 息を止める:血圧が上がりやすい →呼吸を続ける
Avensのワンポイントアドバイス
スクワットのご相談で多いのが、「ひざが痛くてできない」「深くしゃがめない」というお悩みです。私が現場でお伝えするのは、深さや回数より、まず「お尻を引く」感覚と「ひざとつま先を同じ方向」の2つ。これだけ意識して浅く10回できれば、十分に脚への効果は出ます。少しずつ深さや回数を増やしていけば、半年後の身体はきっと変わります。
こんな時は専門家へ
- ひざや腰に強い痛み・しびれがある
- 立ち上がりの動作で痛みが出る
- 変形性ひざ関節症・腰椎ヘルニアなど持病がある
- 運動中・運動後に血圧が大きく変動する自覚がある
- 妊娠中・産後すぐの方(主治医に相談を)
よくある質問
Q1. 毎日やってもいいですか?
軽い回数(10回×2セット程度)なら毎日続けて構わないとされています。強い筋肉痛があるときは休む、または軽めにしましょう。きつめのスクワットを行う日は週2〜3回ペースが目安です。
Q2. 何回やればいい?
目安は5〜10回×2〜3セット。正しいフォームで10回がきついなら、まず5回から。「正しいフォームで限界が来る回数」がちょうど良いとされています。
Q3. ひざが痛くなります
多くはフォームか深さが原因です。ひざがつま先より前に出ていないか、つま先と同じ方向に曲がっているか確認してください。痛みが続く場合は浅めのハーフスクワットから。痛みが取れないときは中止し、医療機関へご相談ください。詳しくはひざの痛みの記事もご覧ください。
Q4. しゃがめないのは硬いから?
足首・ひざ・股関節のいずれか(または複数)の硬さが関係していることが多いとされています。無理に深くせず、できる範囲から。並行して股関節ストレッチを取り入れると改善することがあります(股関節の柔軟性記事)。
続けやすくする道具(なくてもできます)
スクワットは道具なしが基本です。フォームが不安な方は椅子を後ろに置いて座る動きから。膝に不安がある方はサポーターを使う選択もあります。
Q5. スクワットは深くしゃがむほど効果がありますか?
深さよりフォームです。腰が丸まる・かかとが浮く・膝が内に入る深さまで下ろすと、効果より負担のほうが大きくなります。崩れない範囲が適正です。
Q6. 膝が音を立てます
痛みを伴わない音であれば、過度に心配しなくてよいとされています。ただし痛みを伴う音、引っかかる感じがある場合は中止し、整形外科にご相談ください。
まとめ
スクワットは、「お尻を引く」「ひざとつま先を同じ方向に」「呼吸を続ける」の3つを意識するだけで、下半身を効率よく鍛えられる運動です。深さや回数より、正しいフォームで短く繰り返すのが安全かつ効果的。
まず1つなら、「ハーフスクワット10回×2セット」から。フォームに自信がついたらフルスクワット・ワイドスクワットへ広げていきましょう。
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自分のフォームが合っているか不安、ひざに痛みがあるけど運動したい――そんな時は、ご相談を承っています
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を行うものではありません。ひざ・腰・股関節に痛みがある方や持病のある方は運動の前に医師にご相談ください。症状が続く場合や強い痛み・しびれがある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
参考にした情報源
本記事は、以下の公的機関・学会の公開情報を参考に、一般読者向けに分かりやすく再構成したものです。
※内容はあくまで一般的な目安です。年齢・既往歴・症状により適切な対応は異なります。気になる症状がある場合は、医師・理学療法士などの専門職にご相談ください。
