「階段を下りるときに膝が痛い」「上りより下りがつらい」——膝の痛みの中でも、階段で出るタイプはとても多く、放っておくと外出がおっくうになりがちです。
この記事では、総合病院にて勤務している現役の理学療法士として、階段で膝が痛くなる理由と、負担を減らす上り下りのコツ・セルフケアを解説します。膝の痛み全般はひざの痛みの原因の記事もどうぞ。
この記事の結論
- 下りは膝に体重の数倍がかかるとされ、太ももの前がブレーキ役になります
- まず「膝とつま先の向きをそろえる」「痛い脚から下りる」の2つ
- 腫れ・引っかかり・急に力が抜ける場合は、セルフケアより先に受診を
なぜ階段、とくに「下り」で痛むのか
階段の下りでは、膝に体重の数倍の負担がかかるとされ、太ももの前の筋肉がブレーキ役として働きます。この筋肉が弱い・硬い、あるいは膝が内側に入る癖があると、膝のお皿まわりに負担が集中して痛みが出やすくなります。
負担を減らす上り下りのコツ
① つま先と膝の向きをそろえる

膝が内側に入ると負担が集中します。つま先と膝を同じ方向に。下りは特に意識を。
やり方
- 鏡の前か、スマホで正面から動画を撮る
- 片脚立ちになり、膝を軽く曲げる
- 膝のお皿が足の人差し指の方向に向いているか確認する
- ずれていれば、お尻の横に軽く力を入れて膝を外へ戻す
できているかの確認
- 膝が内側に入らず、つま先と同じ方向を向いている
- 骨盤が左右に傾いていない
よくある間違い
- つま先だけを外に向ける → 向きをそろえるのは膝とつま先の両方です
- 膝だけを意識する → 多くの場合、お尻の横の筋力が関わっています
② 下りは「痛くない脚から」、手すりを使う

下りるときは痛い側の脚を先に下ろすと、上に残った痛くない脚で体重を支えられます。上りは逆に痛くない脚から。手すりは遠慮なく使いましょう。
やり方(下り)
- 手すりに手を添える
- 痛い側の脚から先に下の段へ下ろす
- 上の段に残した痛くない側で体重を支えながら、ゆっくり体重を移す
- 1段ずつ、急がずに下りる
やり方(上り)
- 痛くない側の脚から先に上の段へ上げる
- 痛くない側で身体を引き上げ、痛い側を揃える
覚え方
- 下りは痛い脚から、上りは痛くない脚から
- 「下りは痛い方が先、上りは良い方が先」と覚えると迷いません
手すりを使うことは、弱さの表れではありません。膝にかかる負担を腕に分散できる、最も手軽な方法です。
③ 太ももの前を鍛える・ほぐす

椅子に座って膝をまっすぐ伸ばし5秒キープ×10回。ブレーキ役の筋肉を育てます。硬さがあれば太ももの前のストレッチも。スクワットは膝にやさしいスクワットの記事を。
Avensのワンポイントアドバイス
階段の膝痛で多いのは、「下りで膝が内に入る」+「太ももの前が弱い」の組み合わせ。私が最初にお伝えするのは、①膝とつま先の向き ②痛い脚から下りる、の2つ。これだけで「今日の階段が楽だった」と言われることが多いです。筋トレはそのあとで十分間に合います。
やり方
- 椅子に深めに座り、背すじを伸ばす
- 片脚の膝をまっすぐ伸ばし、つま先を手前に向ける
- その位置で5秒キープ
- ゆっくり下ろす。10回 × 左右2セット
できているかの確認
- 太ももの前に力が入っているのが分かる
- 膝のお皿の内側あたりにも張りを感じる
よくある間違い
- 反動で上げる → ゆっくり動かすほうが狙った筋肉が働きます
- 腰を反らせる → 背中は背もたれにつけたままで構いません
階段以外の生活場面でも同じ
- 椅子から立つ・座る:座るときにドスンと落ちない。ゆっくり下ろす
- 床から立つ:片膝立ちを経由すると膝の負担が減ります
- 坂道:下り坂は階段と同じ。歩幅を小さくして小刻みに
膝の負担を減らす環境の工夫
- クッション性のある靴に替える(薄い靴底は衝撃が膝に届きます)
- 階段しかない場所では、荷物を分けて往復する(重さは膝に直結します)
- 痛む時期は無理に階段で運動しない。平地歩行のほうが負担は軽くなります
注意点(こんなときは受診を)
- 膝が腫れる・熱をもつ・水がたまる感じ
- 膝が引っかかる・急に力が抜ける・伸びきらない
- 安静にしても痛い、痛みが数週間続く
よくある質問
Q1. 階段を使って鍛えたほうがいいですか?
痛みが出ている時期におすすめはできません。下りは負担が大きいため、鍛えるなら椅子に座っての膝伸ばしなど負担の少ない方法から始めるほうが安全です。
Q2. サポーターは使ったほうがいいですか?
不安感が減って動きやすくなる方はいます。ただし常用すると自分で支える力が働きにくくなることもあるため、階段や外出のときだけなど場面を決めて使うほうが向いています。
Q3. 温めるのと冷やすの、どちらですか?
腫れや熱感があるときは冷やすと楽に感じることがあり、こわばりが中心のときは温めるほうが動かしやすいとされています。
Q4. 何科を受診すればいいですか?
整形外科です。腫れ・引っかかり・力が抜ける感じがある場合は、早めに確認してもらうほうが安心です。
まとめ
階段、とくに下りの膝痛は、太ももの前の筋肉と膝の向きがカギ。つま先と膝をそろえ、痛い脚から下り、手すりを使う。そのうえで太ももの前を鍛える。腫れや引っかかりがあれば医療機関へ。
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階段や歩行での膝の痛みが気になる方へ。身体の使い方から見直したい方は、ご相談を承っています
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を行うものではありません。痛み・しびれ・強い不調が続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
参考にした情報源
本記事は、以下の公的機関・学会の公開情報を参考に、一般読者向けに分かりやすく再構成したものです。
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動」
- 厚生労働省「健康日本21アクション支援システム」(旧 e-ヘルスネット)
- 日本整形外科学会「症状・病気をしらべる」
- ロコモONLINE(日本整形外科学会公認)
- 日本理学療法士協会
※内容はあくまで一般的な目安です。年齢・既往歴・症状により適切な対応は異なります。気になる症状がある場合は、医師・理学療法士などの専門職にご相談ください。

