猫背は「前が縮んで、後ろが伸びきっている」状態とされています。治し方の順番は、縮んだ前側を伸ばす → 背骨を動かす → 使う、の3段階。力で胸を張るより、この順に進めるほうが戻りにくくなります。
この記事では、総合病院にて勤務している現役の理学療法士として、猫背をゆるめて整えるストレッチ3つと、続けるコツを解説します。猫背の背景にある巻き肩は巻き肩の記事もどうぞ。
この記事の結論
- 猫背は背中が弱いのではなく、胸の前が縮んで背中が引き伸ばされた状態
- 伸ばすのは背中ではなく前側。順番は「前を伸ばす→背骨を動かす→背中を使う」
- 1回で変えようとせず、1日数回を数週間。短い回数を分けるほうが変わりやすい
猫背は「前が縮んで、後ろが伸びきっている」状態
猫背は背中が弱いから起きる、と思われがちですが、実際は胸・肩の前側が縮み、背中側が引き伸ばされたまま固まっている状態です。だからストレッチの狙いは「前を伸ばして、背骨に動きを取り戻す」こと。伸ばすのは背中ではなく、前側です。
猫背の治し方|ゆるめるストレッチ3選
① 胸を開くストレッチ(壁または戸口で)

戸口に立ち、両ひじを肩の高さで枠に当て、一歩前に出て胸を開く。20〜30秒。縮んだ胸の前側がゆるみます。
やり方
- 戸口(ドア枠)の前に立つ
- 両ひじを曲げ、肩の高さで枠の内側に前腕を当てる
- 片足を半歩前に出し、体重を前へ移す
- 胸の前が伸びるところで止めて20〜30秒。2セット
できているかの確認
- 伸びるのは胸の前(鎖骨の下から脇にかけて)
- 肩の前に強い痛みが出ていない
よくある間違い
- ひじの位置が高すぎる → 肩の前がつまる場合は少し下げる
- 腰を反らせて前に出る → 反らすのは腰ではなく、胸を開く動き
② 胸椎(背中の上)を反らす

椅子に座り、両手を頭の後ろに添え、背もたれの上端に背中の上部を当ててゆっくり上を向くように反らす。5回。腰でなく背中の上を動かす意識で。
やり方
- 背もたれのある椅子に浅めに座る
- 両手を頭の後ろに軽く添える(引っ張らない)
- 背もたれの上端に背中の上部を当てる
- 息を吸いながら、その一点を支点に上を向くようにゆっくり反らす
- 息を吐きながら戻る。5回
できているかの確認
- 動いているのは肩甲骨の間あたり
- 腰が反っていない(お腹に軽く力が入ったまま)
よくある間違い
- 首だけ後ろに倒す → 動かしたいのは首ではなく背中の上
- 手で頭を押して反らす → 手は添えるだけにする
③ 肩甲骨を寄せて下げる

両ひじを後ろに引き、肩甲骨を中央に寄せながら下げて5秒。5回。詳しくは肩甲骨はがしの記事を。
Avensのワンポイントアドバイス
猫背の相談で「背筋を鍛えれば直りますか?」とよく聞かれます。鍛えるのも大切ですが、縮んだ前側を伸ばさないまま背中だけ鍛えても戻ります。順番は「前を伸ばす→背骨を動かす→背中を使う」。ストレッチのあとに背筋エクササイズを足すと、変化が定着しやすくなります。
やり方
- 背すじを伸ばして座る
- 両ひじを後ろに引き、肩甲骨を中央に寄せる
- 寄せたまま、肩甲骨を下へ滑らせるように下げる
- 5秒キープしてゆるめる。5回
できているかの確認
- 肩甲骨の間に軽い締まりを感じる
- 肩がすくんでいない
よくある間違い
- 寄せるだけで下げない → 「寄せる+下げる」でワンセット
- 息を止める → 呼吸は続けたまま行います
反り腰も重なっていると感じる方は、反り腰と猫背の違いと、どちらを先に整えるかもどうぞ。
順番と頻度
①→②→③の順で行ってください。縮んだ前側(①)をゆるめないまま背骨を動かしても、動く範囲が出にくくなります。
- 頻度は1日2〜3回、1回2〜3分
- 朝よりも、身体が温まった入浴後のほうが動かしやすい
- デスクワーク中は①だけでも構いません
背中の上の動きそのものを増やしたい方は、背中の上が固まる人の胸椎ストレッチもあわせてどうぞ。
ストレッチのあとに「使う」をひとつ足す
伸ばしただけでは、元の姿勢に戻りやすくなります。ストレッチのあとに、背中を使う動きをひとつ加えると定着しやすいとされています。
- 壁に背中・後頭部・お尻をつけて立ち、その姿勢を30秒保つ
- あごを軽く引いて、後頭部を壁に押しつけて5秒×5回
- 座ったまま、肩甲骨を寄せて下げた姿勢を1分キープ
注意点
- 反らすときに腰を反らしすぎない(腰痛の原因に)
- 痛みがある場合は無理をしない。しびれがあれば医療機関へ
- 1回で変えようとせず、1日数回・数週間の積み重ねで
デスクでの姿勢が気になる方は、姿勢を良くするグッズの選び方|猫背が気になるデスクワークの方へもあわせてご覧ください。
よくある質問
Q1. どれくらいで猫背は変わりますか?
個人差があります。動かしやすさは数日で変わることもありますが、姿勢のクセが変わるには数週間から数か月かかることが一般的とされています。「夕方の背中の張りが減ったか」など、見た目以外の変化でも確認してみてください。
Q2. 背筋を鍛えるだけではだめですか?
鍛えること自体は有効とされていますが、前側が縮んだままだと良い位置まで動かせないため、効率が落ちます。前を伸ばしてから使う順番がおすすめです。
Q3. 反らすと腰が痛くなります
動かす場所が腰になっている可能性があります。お腹に軽く力を入れたまま、肩甲骨の間だけを動かす意識で行ってください。それでも痛む場合は中止してください。
Q4. 寝ながらできる方法はありますか?
あお向けで、丸めたバスタオルを背中の上(肩甲骨の間)に横向きに置いて数分寝るだけでも、胸の前が伸びやすくなります。痛みが出ない高さから試してください。
まとめ
猫背は「前が縮んで後ろが伸びきった」状態。胸を開く・胸椎を反らす・肩甲骨を寄せて下げるの3つで前側をゆるめ、背骨に動きを戻す。そのうえで背筋を使う習慣を足せば、姿勢は少しずつ変わります。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を行うものではありません。痛み・しびれ・強い不調が続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
参考にした情報源
本記事は、以下の公的機関・学会の公開情報を参考に、一般読者向けに分かりやすく再構成したものです。
※内容はあくまで一般的な目安です。年齢・既往歴・症状により適切な対応は異なります。気になる症状がある場合は、医師・理学療法士などの専門職にご相談ください。

