「スクワットをすると膝が内に入る」「しゃがむと膝が痛い」——これはフォームの崩れの中でも、膝への負担が大きいパターンです。
この記事では、総合病院にて勤務している現役の理学療法士として、膝が内に入る理由と、直すための順番を解説します。
この記事の結論
- 膝が内に入るのは膝の問題ではなく、お尻の筋力と足首の硬さが原因のことが多い
- 鏡で「膝がつま先と同じ方向を向いているか」を見るのが最短
- 痛みが出る範囲では回数を追わず、深さを浅くする
なぜ膝が内に入るのか
しゃがむとき、股関節を外に開く力(お尻の横の筋肉)が足りないと、太ももが内側に倒れ、膝がつられて内に入ります。また足首が硬いと、しゃがむために膝を内側へ逃がす代償が起きます。つまり原因は膝の上下にあります。基本のフォームはスクワットの正しいフォームの記事を。
自分で確かめる方法
- 鏡を正面に置き、ゆっくりしゃがむ。膝がつま先と同じ方向を向いているか
- かかとが浮かないか(浮くなら足首が硬い可能性)
- しゃがむにつれて内に入るなら、深さが今の力に対して深すぎる
直す順番
ステップ1:深さを浅くする

まず膝が内に入らない深さまで戻します。浅くても、正しい方向で行うほうが効きます。椅子に座る手前で止まるハーフスクワットから。
ステップ2:お尻の横を使えるようにする

横向きに寝て、上の脚をゆっくり上げ下げ10回。股関節を外に開く力を思い出させます。物足りなくなったら膝に軽いバンドを巻く方法も。
やり方(お尻の横を使う)
横向きの脚上げ
- 横向きに寝て、下の脚は軽く曲げる
- 上の脚をまっすぐ伸ばし、つま先を少し下に向ける
- 身体が後ろに倒れないよう保ったまま、脚を30〜45度上げる
- 2秒かけて下ろす。10回×左右2セット
バンドを使う場合
- 両ももにゴムバンドを巻く
- 脚を肩幅に開き、バンドを外へ押し広げる力を保つ
- その張りを保ったまま浅くしゃがむ。10回
確認:お尻の横(骨盤の外側)に疲れが出ていれば効いています。前ももだけが疲れる場合は、お尻が使えていないサインです。
ステップ3:足首の硬さをとる

壁に手をついて、後ろ足のかかとを床につけたまま30秒。かかとが浮く方はここが原因のことがあります(足首のストレッチの記事)。
やり方(足首の硬さをとる)
- 壁の前に立ち、つま先を壁から10cmほど離す
- かかとを床につけたまま、膝を壁に向けて前へ出す
- 膝が壁に触れるか確認する。触れなければ足首が硬いサイン
- 触れる距離まで足を近づけ、その位置で20回ゆっくり前後に動かす
補助策
- かかとの下に1〜2cmの板や本を敷くと、しゃがみやすくなります
- かかとが浮くまましゃがむと、膝が内に入りやすくなります
ステップ4:軽く外へ押しながらしゃがむ
しゃがむときに膝を「外へ開くつもり」で動かします。実際に大きく開く必要はなく、内に入らない程度で十分です。
続けやすくする道具(なくてもできます)
道具は要りません。フォームの確認には鏡かスマホの動画がいちばん確実です。膝に不安がある方はサポーターを使う選択もあります。
Avensのワンポイントアドバイス
膝が内に入る方に「膝を開いて」とだけ伝えても、たいてい直りません。開く力そのものが足りないか、足首が硬くてそうせざるを得ないからです。順番は、深さを戻す→お尻の横を使う→足首をゆるめる。この順で進めると、意識しなくても膝の向きが変わってきます。
頻度と進め方
- 週3〜4回。毎日やるより間に1日空けるほうが回復します
- 各ステップは2週間を目安に。できていないのに次へ進まない
- 動画を正面から撮って、2週間ごとに見比べると変化が分かります
日常動作でも同じことが起きています
- 階段を下りるとき:膝が内に入ると負担が集中します
- 椅子から立つとき:膝とつま先の向きをそろえる
- 片脚立ち:靴下を履くときにぐらつくなら、お尻の横の力が足りていないサインです
こんなときは中止して医療機関へ
- しゃがむと膝の内側や前に鋭い痛みが出る
- 膝が引っかかる・カクッと抜ける感じがある
- 腫れや熱感を伴う(膝の痛みの記事)
よくある質問
Q1. 膝が内に入るのはなぜですか?
股関節を外に開く力が足りない、または足首が硬くてしゃがむために膝を内へ逃がしている、というのが多い原因です。
Q2. 「膝を開く」と意識すれば直りますか?
意識だけでは直りにくいことが多いです。まず深さを浅くし、お尻の横を使う運動と足首のストレッチを並行してください。
Q3. 浅いスクワットでも効果はありますか?
あります。膝が内に入った深いスクワットより、正しい方向で行う浅いスクワットのほうが安全で効率的です。
Q4. かかとが浮いてしまいます
足首が硬い可能性があります。壁を使ったふくらはぎのストレッチを行い、それまでは深さを浅くしてください。
Q5. 女性のほうが膝が内に入りやすいですか?
骨盤の形の違いから、そうした傾向があるとされることはあります。ただし個人差のほうが大きく、性別だけで決まるものではありません。
Q6. バンドは必要ですか?
なくても始められます。横向きの脚上げだけでもお尻の横は鍛えられます。バンドは「外へ押す感覚」をつかみやすくする補助と考えてください。
まとめ
膝が内に入るのは膝の問題ではありません。お尻の横の力と足首の硬さが関わります。直す順番は、深さを戻す→お尻の横を使う→足首をゆるめる→軽く外へ開きながらしゃがむ。回数より方向です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を行うものではありません。痛み・しびれ・強い不調が続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
参考にした情報源
本記事は、以下の公的機関・学会の公開情報を参考に、一般読者向けに分かりやすく再構成したものです。
※内容はあくまで一般的な目安です。年齢・既往歴・症状により適切な対応は異なります。気になる症状がある場合は、医師・理学療法士などの専門職にご相談ください。
関連記事
- スクワットの正しいフォームとバリエーション|初心者OKのやり方
- 膝の負担を減らすスクワット|正しいフォームとバリエーション
- 足首の可動域を広げるストレッチ|歩きやすさを支えるセルフケア
- ひざの痛みの原因とセルフケア|受診の目安と予防
- お尻まわりを引き締めたい方へ|初心者向けヒップトレーニング
運動で膝に不安がある方へ。身体の状態に合わせたやり方を知りたい方は、ご相談を承っています

