「デスクワーク中にできる体幹トレーニングはない?」「ジムに行く時間がない」——忙しい方ほど、座ったままできる方法を知りたいはずです。
この記事では、総合病院にて勤務している現役の理学療法士として、座ったまま・仕事の合間にできる体幹エクササイズを解説します。体幹の基本は体幹トレーニングの記事もどうぞ。
この記事の結論
- 背もたれに寄りかかっている間、身体を支える筋肉は働かずに休んでいる
- まずは「骨盤を立てて1分」。道具も場所も要らず、座ったまま始められる
- 強く力むほど効くわけではない。呼吸を止めないことが最優先
座りっぱなしで体幹が「サボる」理由
椅子の背もたれに寄りかかると、本来身体を支えるお腹・背中の筋肉が働かなくてよい状態になります。これが長く続くと、立ったときに姿勢が保ちにくくなり、腰の負担につながるとされます。座ったままでも「自分で支える時間」を作るのが、デスクワーク中の体幹トレーニングの考え方です。
体幹まわりの筋肉には、意識して動かす筋肉だけでなく、姿勢を保つために無意識に働き続ける筋肉が含まれます。こうした筋肉は、使わない時間が長く続くと働くタイミングそのものが鈍くなるとされています。
デスクワークでは、1日の大半をこの「働かなくてよい状態」で過ごすことになります。だからこそ、まとめて長く鍛えるより、短くても回数を分けて「働く合図」を入れるほうが、生活の中では現実的です。
どれくらいやればいい?
目安は1時間に1回、合計1〜2分です。8時間座る日でも、1日の合計で8分程度にしかなりません。
まとめて10分行うより分けたほうがよいのは、筋肉への刺激だけでなく、「座りっぱなしの時間を区切る」こと自体に意味があるとされているためです。立ち上がれるタイミングがあるなら、立つほうが優先です。
続ける期間には個人差があります。まずは2週間、同じタイミングに入れて習慣にするところから始めてみてください。
座ったままできる体幹エクササイズ3選
いずれも呼吸を止めずに。周りに気づかれないくらい小さな動きで十分です。
① 骨盤を立てて座り直す

背もたれから背中を離し、座骨(お尻の骨)で座る感覚で骨盤を立てる。これだけで体幹が働き始めます。まず1時間に1回、1分から。
やり方
- 背もたれから背中を離す
- 足裏を床につけ、膝は約90度にする
- お尻の下に手を入れると触れる左右の硬い骨(座骨)を探す
- その座骨が真下を向くように、骨盤を前後に小さく動かして中間の位置を探す
- 頭が骨盤の真上にくる位置で止め、そのまま1分
できているかの確認
- 座骨2点と足裏2点、合計4点で体重を支えている感覚があるか
- お腹と背中の両方が軽く張る感じがあるか
よくある間違い
- 胸を張りすぎて腰が反る → 肋骨を軽く閉じ、みぞおちを上に突き出さない
- 肩に力が入る → 肩はストンと下げたままにする
② お腹を軽くへこませてキープ(ドローイン)

息を吐きながらおへそを背中に近づけるように軽くへこませ、そのまま呼吸を続けて10秒。5回。力みすぎないのがコツ。
やり方
- 骨盤を立てて座る
- おへその少し下に手を当てる
- 息を吐きながら、手の下が薄くなるようにお腹を軽くへこませる
- へこませたまま浅い呼吸を続けて10秒
- ゆるめて一呼吸。これを5回
できているかの確認
- 手の下が硬くならずに薄くなるのが目安
- 息が止まる・肩が上がる場合は力みすぎ
よくある間違い
- 全力でへこませる → 2〜3割の力で十分とされています
- 息を止める → 力んで息を止めると血圧が上がりやすいため、呼吸は続けます
③ 片脚を浮かせてキープ

骨盤を立てたまま、片方の足を床から数cm浮かせて5秒。左右5回ずつ。上体がぐらつかないように支えることで、体幹が働きます。
やり方
- 骨盤を立てて座り、両足裏を床につける
- 片方の足を床から2〜3cm浮かせる
- 上体が傾かないように保って5秒
- 下ろして反対側。左右5回ずつ
できているかの確認
- 浮かせた側に身体が傾かない
- 座面にかかる左右の圧が大きく変わらない
よくある間違い
- 脚を高く上げる → 高さではなく上体を動かさないことが目的
- 手で机を強く押して支える → 手は軽く添える程度にする
続けやすくする道具(なくてもできます)
座ったままのエクササイズに道具は要りません。ただ、足が床につかない椅子だと骨盤が安定せず、お腹に力が入りにくくなります。足元と座面を整えるだけで、同じ動きでも効き方が変わります。
3つをどの順番でやるか
①→②→③の順がおすすめです。①で骨盤の位置という土台を作らないまま②③を行っても、狙った場所に効きにくくなります。
時間がない日は①だけで構いません。3つ全部やろうとして続かなくなるより、1つを毎日続けるほうが結果的に積み上がります。
Avensのワンポイントアドバイス
「体幹トレーニング=プランク」と思われがちですが、デスクワークの方に最初におすすめするのは「骨盤を立てて座る」です。地味ですが、これができない人はプランクをしても腰を痛めやすい。1時間に1分、背もたれから離れる。これが最も続く体幹トレーニングです。
職場で目立たずに続けるコツ
- ①は座り直すだけなので、人目を気にせずできる
- ②は外から見て動きがほとんど分からない
- ③は机の下の動きなので見えにくい
続けるうえで効きやすいのは、時間ではなく行動にひもづけることです。「電話を切ったら」「コーヒーを入れて席に戻ったら」「会議が終わったら」など、すでに毎日起きている行動の直後に置くと、タイマーより忘れにくくなります。
変化を感じにくいときに見直すこと
- 椅子の高さ:足裏が床につかないと骨盤を立てにくくなります
- 机の高さ:高すぎると肩が上がり、体幹より首・肩に力が入ります
- 回数:1回の長さより、背もたれから離れた回数を数えてみる
2週間ほど続けても座り姿勢が保ちにくい、腰のつらさが変わらないという場合は、身体の使い方そのものを一度見てもらうことも選択肢になります。
注意点
- 腰に痛みがある状態で無理に続けない
- 呼吸を止めて力むと血圧が上がりやすいので、必ず呼吸を続ける
- しびれ・強い痛みが出たら中止し、医療機関へ
よくある質問
Q1. 1日に何回やればいいですか?
1時間に1回、1〜2分が目安です。合計時間を増やすことより、回数を分けることを優先してください。
Q2. 腰が痛いときもやっていいですか?
痛みが出ない範囲であれば、動かすこと自体は問題ないとされています。ただし痛みが強い、しびれがある、動かすと痛みが増す場合は中止し、医療機関にご相談ください。
Q3. プランクのほうが効果がありますか?
目的が違います。プランクは体幹に負荷をかける運動で、ここで紹介したものは座っている間に「働く合図」を入れるためのものです。デスクワーク中にその場でできるという点に、座ったままの方法の利点があります。
Q4. どれくらいで変化を感じますか?
感じ方には個人差があります。まずは2週間を目安に、「夕方に座り姿勢が崩れにくくなったか」「立ち上がるときの重さが変わったか」で見てみてください。
まとめ
デスクワーク中の体幹トレーニングは、「自分で支える時間を作る」こと。骨盤を立てて座る・ドローイン・片脚浮かせの3つを、1時間に1回。小さな積み重ねが、立ったときの姿勢と腰の安定につながります。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を行うものではありません。痛み・しびれ・強い不調が続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
参考にした情報源
本記事は、以下の公的機関・学会の公開情報を参考に、一般読者向けに分かりやすく再構成したものです。
※内容はあくまで一般的な目安です。年齢・既往歴・症状により適切な対応は異なります。気になる症状がある場合は、医師・理学療法士などの専門職にご相談ください。

