立ち上がるときの腰の痛みは、腰が弱いからではなく、座った形で固まった状態から急に動くことが負担になるためとされています。効くのは立ち方より立つ前の準備。骨盤を前後に5回動かすだけで変わる方もいます。
この記事では、総合病院にて勤務している現役の理学療法士として、立ち上がるときに腰が痛む理由と、痛みを減らす立ち上がり方・対策を解説します。腰痛のタイプは腰痛のタイプ別セルフチェックの記事もどうぞ。
この記事の結論
- 腰が弱いのではなく、座った形で固まった状態から急に動くことが負担になります
- 「立ち上がり方」より「立つ前の準備」。骨盤を前後に5回動かすだけで変わる方が多い
- 脚のしびれや力の入りにくさがある場合は、セルフケアより先に受診を
立ち上がりで腰が痛むのはなぜ?
長く座っていると、腰まわりの筋肉と股関節が「座った形」で固まります。その状態で急に立つと、固まった腰にいきなり負担がかかり、痛みやつっぱりが出やすいとされます。つまり「立ち上がり方」より「立ち上がる前の準備」がポイントです。股関節の硬さは股関節が硬い人への記事を。
痛みを減らす3つのコツ
① 立つ前に、骨盤を前後に5回動かす

座ったまま、骨盤を前に倒す→後ろに倒すをゆっくり5回。固まった腰まわりに動きを戻してから立ちます。これだけで痛みが変わる方が多いです。
やり方
- 椅子に座ったまま、足裏を床につける
- 手は太ももの上に置く
- 息を吐きながら、骨盤を後ろに倒す(背中が丸まる)
- 息を吸いながら、骨盤を前に倒す(腰が軽く反る)
- ゆっくり5往復。1往復に4〜5秒かける
できているかの確認
- 動いているのは腰から骨盤で、肩や頭は大きく動かない
- 痛みが出ない範囲で前後に動かせている
よくある間違い
- 勢いよく大きく動かす → ゆっくり小さくで十分です
- 痛いほうまで動かす → 痛みの手前で折り返してください
② 浅く座り直し、股関節から前に倒れて立つ

お尻を椅子の前側にずらし、足を引き、背中を丸めずに股関節から上体を前に倒して立ち上がります。腰でなく脚で立つ意識で。手を膝についてもOK。
やり方
- お尻を椅子の前のほうへずらす
- 足を少し後ろに引き、かかとを膝より手前に置く
- 背中を丸めず、股関節から上体を前に倒す
- 鼻が膝の上に来たあたりで、脚の力で立ち上がる
できているかの確認
- 立ち上がる力を使っているのは腰ではなく太ももとお尻
- 立った直後に腰を伸ばし直す動作が要らない
よくある間違い
- 背中を丸めたまま立つ → 腰に負担が集中します
- 足が前に出すぎている → 立ち上がるのに腰の力が必要になります
③ 座る時間を区切る(1時間に1回立つ)

そもそも固まらせないのが一番の対策。座りすぎ対策の記事のとおり、1時間に1回は立って少し歩きましょう。
Avensのワンポイントアドバイス
「立ち上がりの腰痛」は、腰が弱いのではなく座りっぱなしで固まった結果であることがほとんど。だから鍛えるより、立つ前に動かすほうが先です。骨盤前後5回は、患者さんに最初にお伝えする定番のセルフケア。デスクの下で誰にも気づかれずにできます。
立つきっかけを決めておく
- コップの水がなくなったら立つ
- 会議が終わったら必ず一度立つ
- 1時間に1回、席を離れて10歩だけ歩く
車・床からの立ち上がりのコツ
車から降りるとき
- まず身体ごと横を向き、両足を外に出す
- 両足が地面についてから、股関節から前に倒れて立つ
ひねりながら立つと腰に負担が集中します。向きを変えてから立つのが基本です。
床から立つとき
- 横向きになり、手で床を押して横座りになる
- 片膝立ちを経由する
- 前の脚に体重を乗せ、脚の力で立ち上がる
反り腰の自覚がある方は、寝る姿勢の工夫を反り腰の人の寝方にまとめています。
朝の起き上がりがつらい場合
- あお向けのまま膝を立て、左右にゆっくり倒す(5往復)
- 横向きになってから、肘で床を押して起き上がる
- 上体をまっすぐ起こす(腹筋のような起き方)は腰に負担が集中します
注意点(こんなときは受診を)
- 脚のしびれ・力が入らない
- 急に強い痛みが出て動けない(急な腰痛の対応の記事を参考に)
- 安静にしても痛い・夜間に痛む
よくある質問
Q1. 腹筋や背筋を鍛えれば治りますか?
筋力があることは役立つとされていますが、立ち上がりの痛みは固まった状態から急に動くことが関わるため、まずは立つ前に動かすほうが先です。鍛えるのはその後で間に合います。
Q2. コルセットは使ってもいいですか?
痛みが強い時期に一時的に使うことはあります。ただし長期間頼ると自分で支える筋肉が働きにくくなるため、動けるようになったら外していくのが一般的です。
Q3. 温めたほうがいいですか?
こわばりが中心であれば、温めてから動かすほうが楽に感じる方が多いとされています。急に強い痛みが出た直後は、無理に温めず楽な姿勢で過ごしてください。
Q4. どれくらいで変化を感じますか?
立つ前の準備は、その日から体感が変わることがあります。座りっぱなしの習慣そのものを変えるには2〜4週間を目安に見てください。
まとめ
立ち上がるときの腰の痛みは、座りっぱなしで固まった腰と股関節が原因になりやすいもの。立つ前に骨盤を5回動かし、股関節から前に倒れて脚で立つ。そして座る時間を区切る。この3つで、立ち上がりの「ズキッ」を減らしていきましょう。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を行うものではありません。痛み・しびれ・強い不調が続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
参考にした情報源
本記事は、以下の公的機関・学会の公開情報を参考に、一般読者向けに分かりやすく再構成したものです。
※内容はあくまで一般的な目安です。年齢・既往歴・症状により適切な対応は異なります。気になる症状がある場合は、医師・理学療法士などの専門職にご相談ください。

