「もっとラクに、長く走りたい」「走ると膝や腰が痛くなる」——ランナーの悩みの多くは、身体の使い方を見直すことで軽くなることがあります。
この記事では、総合病院にて勤務している現役の理学療法士として、効率のよい走り方につながる身体の使い方・意識したいポイント・ケガ予防を解説します。フォームは一気に変えず、少しずつ整えましょう。
この記事の結論
- 効率のよい走りは、必要なところに力を入れてあとは抜くのが特徴
- フォームは一度に変えない。1回のランで意識するのは1つだけ
- 距離や強度を急に増やさない。痛みが続くときは無理をしない
効率のよい走りは「力み」が少ない
速く走ろうと力むほど、かえって身体は動きにくくなります。効率のよい走りは、必要なところに力を入れ、あとは力を抜くのが特徴です。まずは肩の力を抜くことから意識してみましょう。
意識したい3つのポイント
① 姿勢:みぞおちから前へ

反ったり丸まったりせず、頭からかかとまでゆるやかに一直線を意識。みぞおちのあたりから前へ運ばれるイメージだと、脚に頼りすぎず進めます。姿勢の基本は身体の軸の記事もどうぞ。
意識すること
- 頭からかかとまでを、ゆるやかな一直線に保つ
- みぞおちのあたりから前へ運ばれるイメージを持つ
- 肩の力を抜き、腕は後ろに引くことを意識する
よくある崩れ
- 腰が落ちる:疲れると骨盤が後ろに倒れ、脚だけで走る形になります
- 反りすぎる:胸を張りすぎると腰に負担が集中します
- 顔が下を向く:視線が落ちると背中も丸まります。10〜20m先を見る
② 着地:身体の真下で

足を前に投げ出して着地すると、ブレーキがかかり膝に負担が増えます。身体の真下に近い位置で着地すると、衝撃を受け流しやすくなります。走ると膝が痛む方はランニング膝の記事も参考に。
確認の仕方
- 足が身体の真下に近い位置に着いているか
- 前に投げ出して着地すると、ブレーキがかかり膝に負担が増えます
- ピッチ(1分間の歩数)を少し上げると、自然に着地位置が身体に近づきます
試し方
- いつものペースで走りながら、歩数を数える
- 1分間の歩数を5〜10歩ほど増やしてみる
- 歩幅は狭くなりますが、着地が身体に近づきます
③ 股関節から動かす

膝から下だけで走ると疲れやすくなります。股関節から脚全体を動かす意識で、大きな筋肉を使いましょう。股関節の柔軟性は股関節ストレッチの記事が役立ちます。
Avensのワンポイントアドバイス
ランナーの方の相談で多いのは「がんばっているのに膝や腰が痛い」というもの。多くは着地位置と股関節の使い方で負担が変わります。フォームを一度に変えると別の不調が出ることもあるので、現場では「1回のランで1つだけ意識する」ようにお伝えしています。焦らず、少しずつが結局いちばんの近道です。
意識すること
- 膝から下を振り出すのではなく、股関節から脚全体を動かす
- お尻の筋肉で地面を後ろに押す感覚を持つ
- 前ももばかり疲れる場合は、股関節から動かせていないサインのことがあります
1回に1つだけ
フォームを一度に変えると、別の場所に負担が移って新しい不調が出ることがあります。今日は着地だけ、次は股関節だけというように、1回のランで意識するのは1つに絞ってください。
走る前後のケア
走る前はダイナミックストレッチで股関節・足首を温め、走った後は静的ストレッチでもも裏・ふくらはぎをケア。ケガ予防の考え方はスポーツ外傷の記事もどうぞ。
走る前後の具体策
走る前(5〜10分)
- その場で足踏み、または軽いジョグ3分
- 脚を前後に振る(左右10回)
- 股関節を回す(左右10回)
- かかとの上げ下げ20回
走った後(5〜10分)
- もも裏20〜30秒×左右
- ふくらはぎ30秒×左右(膝を伸ばした形と曲げた形)
- 股関節の前20秒×左右
- お尻20秒×左右
距離を増やすときの目安
- 週あたりの距離は、前の週から10%程度までが目安とされています
- 距離とスピードを同時に上げない
- 月に1週は、あえて量を落とす週を作ると故障が減るとされています
注意点
- フォームは少しずつ:一度に大きく変えない
- 距離・強度は段階的に:急に増やさない
- 痛みが続く・強くなる場合は、無理をせず医療機関にご相談ください
よくある質問
Q1. かかと着地とつま先着地、どちらがいいですか?
どちらが正解と決まっているわけではありません。重要なのは接地の場所より身体の真下に近い位置で着くこととされています。
Q2. 走ると膝が痛くなります
着地位置、距離の増やし方、靴のすり減りを順に見直してみてください。痛みが続く場合は、走るのを一度止めて医療機関にご相談ください。
Q3. 毎日走ったほうが速くなりますか?
回復の時間も必要とされています。走らない日を作るほうが、結果的に故障なく続けやすくなります。
Q4. フォームを動画で撮るのは有効ですか?
自分の感覚と実際の動きはずれることが多いため、有効です。横からと後ろからの2方向で撮ると、着地位置と左右差が見えます。
まとめ
効率のよい走りは、力みが少なく、姿勢・着地・股関節の使い方がポイント。1回に1つずつ意識し、走る前後のケアもセットに。無理なく続けることが、ケガ予防とパフォーマンスの両方につながります。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を行うものではありません。痛みが続く・強くなる場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
参考にした情報源
本記事は、以下の公的機関・学会の公開情報を参考に、一般読者向けに分かりやすく再構成したものです。
※内容はあくまで一般的な目安です。年齢・既往歴・症状により適切な対応は異なります。気になる症状がある場合は、医師・理学療法士などの専門職にご相談ください。

