「スクワットは身体に良いと聞くけれど、膝が痛くならないか心配」——そんな声を、現場でもよくうかがいます。実はスクワットは、フォーム次第で膝への負担を大きく減らせる運動です。
この記事では、総合病院にて勤務している現役の理学療法士として、膝の負担を減らすスクワットの考え方・正しいフォーム・膝にやさしいバリエーションを解説します。基本のフォームをもっと詳しく知りたい方は、スクワットの正しいフォームの記事もあわせてどうぞ。
まず確認:こんな時は運動の前に受診を
次のような場合は、スクワットを始める前に整形外科などの医療機関にご相談ください。
- 膝が腫れている・熱っぽい・水がたまっている感じがする
- 体重をかけると強く痛む、歩くのもつらい
- 膝がぐらつく・引っかかる・急に伸ばせなくなる
- 安静にしていても・夜間も痛む
なぜスクワットで膝が痛くなることがあるのか
スクワット自体が膝に悪いわけではありません。多くの場合、痛みの背景にはフォームのくせがあると考えられています。とくに次の3つは、膝への負担を増やしやすいポイントです。
- 膝がつま先より大きく前に出る:重心が前に偏り、膝のお皿まわりに負担が集中しやすくなります
- 膝が内側に入る(ニーイン):つま先と膝の向きがずれ、膝の内側にねじれの力がかかります
- お尻を使えていない:太ももの前だけで動作すると、膝への負担が増えやすくなります
逆にいえば、この3点を整えるだけで、膝にやさしいスクワットにぐっと近づきます。
膝の負担を減らす基本フォームとバリエーション
痛みのない範囲で、鏡で横や正面から確認しながら行うのがおすすめです。呼吸は止めず、しゃがむときに息を吸い、立ち上がるときに吐きましょう。
① お尻を後ろに引く基本フォーム

足は肩幅、つま先はやや外向き。椅子に腰かけるように、お尻を後ろへ引きながらしゃがみます。膝はつま先と同じ方向へ曲げ、膝がつま先より大きく前に出ないように意識します。太ももが床と平行になる手前まででも十分です。10回を目安に、無理のない深さで。
② 椅子を使ったスクワット(膝にやさしい)

膝が不安な方や運動に慣れていない方は、椅子から立ち座りする形から始めましょう。椅子に浅く座り、お尻を後ろに引く意識で立ち上がり、ゆっくり座ります。座面が深さの目安になり、しゃがみすぎを防げます。物足りなくなったら、座る直前で止めて立ち上がると負荷を調整できます。
③ 幅広(ワイド)スクワット

足を肩幅より広めに開き、つま先を外へ向けて行うスクワットです。膝を深く曲げなくてもお尻や内ももを使いやすく、膝を前に出さずにしゃがみやすいのが特徴です。膝とつま先の向きをそろえることを、いつも以上に意識しましょう。
Avensの現場から
膝が気になる方のスクワットでは、回数や深さより「お尻を後ろに引けているか」を最初に確認します。壁の前に立ち、壁に膝がぶつからないようにお尻を引いてしゃがむ練習をすると、多くの方が「膝が前に出ないコツ」をつかまれます。深くしゃがむより、正しく浅く数をこなす方が、膝にやさしく続けやすいと感じています。
続けるときの注意点
- 痛みが出たら中止する:「気持ちよい張り」ならOK、鋭い痛み・ズキッとする痛みは中止のサイン
- 翌日に痛みを残さない回数から:最初は5〜10回×1セットで十分です
- 反動をつけない・ゆっくり動く:勢いは膝の負担を増やします
- 床が滑らない場所で:靴下より、素足や運動靴が安心です
よくある質問
Q1. 毎日やってもいいですか?
軽い回数であれば毎日でも構いませんが、疲れや痛みを感じる日は休みましょう。慣れないうちは1日おきくらいから始め、様子を見ながら回数を増やすのがおすすめです。
Q2. しゃがむと膝が「ポキポキ」鳴りますが大丈夫?
痛みをともなわない音であれば、過度に心配しなくてよいことが多いとされています。ただし痛みや引っかかりをともなう場合は、無理に続けず医療機関にご相談ください。
Q3. 膝サポーターはつけた方がいいですか?
不安の軽減や動きのサポートとして役立つ場面はありますが、フォームの代わりにはなりません。選び方は膝サポーターの記事を参考にしてください。
まとめ
スクワットは、お尻を後ろに引き、膝とつま先の向きをそろえるだけで、膝への負担をぐっと減らせます。不安な方は椅子スクワットから、慣れてきたらワイドスクワットへ。痛みが出る・腫れがある場合は無理をせず、整形外科などの医療機関で膝の状態を確認してから取り組みましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を行うものではありません。膝の腫れ・強い痛み・続く痛みがある場合は、自己判断せず整形外科などの医療機関にご相談ください。
参考にした情報源
本記事は、以下の公的機関・学会の公開情報を参考に、一般読者向けに分かりやすく再構成したものです。
※内容はあくまで一般的な目安です。年齢・既往歴・症状により適切な対応は異なります。気になる症状がある場合は、医師・理学療法士などの専門職にご相談ください。
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