「デスクワークをしていると背中が痛くなる」「肩甲骨の間がずっと張っている」——肩こり・腰痛と並んで多いのが、この背中の不調です。
この記事では、総合病院にて勤務している現役の理学療法士として、デスクワークで背中が痛くなる原因と、職場でもできるセルフケアを解説します。
この記事の結論
- 背中が弱いのではなく「前が縮んで背中が引っ張られている」状態で起きやすい
- 痛い背中を揉むより、胸の前を開いて肩甲骨を動かすほうが戻りにくい
- 1時間に1回・10秒で十分。回数を分けるほうが続きます
デスクワークで背中が痛くなる主な原因
- 前かがみ姿勢の固定:頭と腕が前に出ると、背中(肩甲骨の間)の筋肉が引き伸ばされたまま働き続ける
- 肩甲骨が動かない:キーボード操作は肩甲骨が動かない姿勢。まわりの筋肉がこわばる
- 浅い呼吸:胸が縮こまり、背中側の動きが減る
つまり背中の痛みは「背中が弱い」より、「前が縮んで背中が引っ張られている」状態で起きやすいとされます。だから、背中を揉むより前を開き、肩甲骨を動かすのが基本です。
職場でもできるセルフケア3選
いずれもゆっくり・痛みのない範囲で。
① 胸を開くストレッチ

両手を後ろで組み、胸を張るように腕を軽く引く。20秒。座ったままでOK。縮んだ前側をゆるめます。
やり方
- 椅子に浅めに座るか、立った状態で行う
- 両手を腰の後ろで組む(届かなければタオルの両端を持つ)
- 胸を軽く持ち上げながら、組んだ手を下へ・後ろへ引く
- あごは引いたまま20秒。呼吸は止めない
- 2〜3回繰り返す
できているかの確認
- 胸の前(鎖骨の下あたり)が伸びている
- 肩がすくまず、下がったまま保てている
よくある間違い
- あごが上がって首が反る → 視線はまっすぐ前のまま
- 腰を反らせて胸を張る → 反るのは腰ではなく胸
② 肩甲骨を寄せて下げる

両ひじを後ろに引き、肩甲骨を中央に寄せながら下に下げる。5秒キープ×5回。詳しくは肩甲骨はがしの記事を。
やり方
- 椅子に座り、両手を軽く太ももに置く
- 両ひじを後ろに引き、左右の肩甲骨を中央に寄せる
- 寄せたまま、肩甲骨を下へ滑らせるように下げる
- その位置で5秒キープしてゆるめる。5回
できているかの確認
- 肩甲骨の間に軽い締まりを感じる
- 肩が耳に近づいていない
よくある間違い
- 肩をすくめて寄せる → 「寄せる」と「下げる」をセットで
- 反動で勢いよく引く → ゆっくり動かすほうが狙った筋肉が働きます
③ 背中を丸める・反らす(キャット&カウ)

椅子に座り、息を吐きながら背中を丸め、吸いながら胸を開いて軽く反らす。ゆっくり5往復。固まった背骨まわりに動きを取り戻します。
Avensのワンポイントアドバイス
背中の痛みで来られる方の多くは、背中そのものより「胸の前」と「肩甲骨」が固まっています。背中をマッサージしてもすぐ戻るのはそのため。おすすめは1時間に1回、胸を開いて肩甲骨を寄せる10秒。これだけで夕方の張りが違います。痛い場所を揉むより、原因の場所を動かしてください。
やり方
- 椅子に座り、両手を軽く太ももに置く
- 息を吐きながら、おへそをのぞき込むように背中を丸める
- 息を吸いながら、胸を前に出すように背中の上を反らす
- ゆっくり5往復
できているかの確認
- 背中の上(肩甲骨の間)が動いている感じがある
- 呼吸に合わせて動けている
よくある間違い
- 腰だけで反る → 動かしたいのは腰ではなく背中の上です
- 速く動かす → 1往復に5秒ほどかけるとつまりに気づけます
続けやすくする道具(なくてもできます)
職場でのケアに道具は要りません。壁といすがあれば十分です。ただ、背中が丸まったまま戻りにくい方は、背もたれ側から支えるものを足すと、自力で姿勢を保ち続けなくてよくなります。
背中の上が固まって呼吸まで浅く感じる方は、胸椎を3方向に動かすストレッチもどうぞ。
いつやるのが続けやすいか
背中の張りは夕方に強くなることが多いため、張ってから対処するより、張る前に差し込むほうが楽です。
- 午前と午後に1回ずつ、席を立つタイミングで
- 会議と会議の間、画面を切り替える前の10秒
- 帰宅後の入浴あとに、まとめて1セット
デスク環境も3点だけ見直す
- 画面の高さ:上端が目線か少し下。低いと頭が前に出ます
- ひじの角度:約90度。机が高いと肩がすくみます
- 背もたれとの距離:浅く座りすぎると背中を自分で支え続けることになります
注意点(こんなときは受診を)
- 安静にしても痛い・夜間に痛む・しびれを伴う
- 胸の痛みや息苦しさを伴う(背中の痛みは内臓の不調で出ることもあります)
- 数週間セルフケアを続けても変化がない
よくある質問
Q1. 背中をマッサージするのは意味がないですか?
その場の楽さという意味では役立ちます。ただし縮んだ前側が変わらないままだと戻りやすいため、揉んだあとに前を開くまで含めると持ちがよくなります。
Q2. 湿布を貼ってもいいですか?
痛みをやわらげる目的で使うこと自体は一般的です。ただし何週間も貼り続けても変わらない場合は、別の原因が隠れていることもあるため受診をご検討ください。
Q3. 筋トレで背筋を鍛えれば治りますか?
背筋を使えるようにすることは有効とされていますが、前側が縮んだまま鍛えても姿勢は戻りにくくなります。前を伸ばす→背骨を動かす→背中を使うの順番がおすすめです。
Q4. 背中の痛みで注意すべきサインはありますか?
安静にしても痛む・夜間に目が覚める・しびれを伴う・息苦しさや胸の痛みがある場合は、筋肉以外の原因も考えられます。自己判断せず医療機関にご相談ください。
まとめ
デスクワークの背中の痛みは、前かがみで「前が縮み、背中が引っ張られる」ことが主因。胸を開く・肩甲骨を寄せて下げる・背中を丸める反らすの3つを、1時間に1回。痛い場所より原因の場所を動かすのがコツです。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を行うものではありません。痛み・しびれ・強い不調が続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
参考にした情報源
本記事は、以下の公的機関・学会の公開情報を参考に、一般読者向けに分かりやすく再構成したものです。
※内容はあくまで一般的な目安です。年齢・既往歴・症状により適切な対応は異なります。気になる症状がある場合は、医師・理学療法士などの専門職にご相談ください。

